最近、「口を開けると顎がカクカク鳴る」「口が大きく開かない」「顎の周りが痛い」といったお悩みはありませんか。
その不調、実は顎の奥深くにある外側翼突筋(がいそくよくとつきん)という筋肉のトラブルが原因かもしれません。今回は、この小さくて働き者の筋肉についてお話しします。
「噛む」だけじゃない咀嚼筋
外側翼突筋は、咬筋(こうきん)や側頭筋(そくとうきん)と並ぶ「四大咀嚼筋」のひとつです。
咀嚼筋と聞くと「口を閉じて食べ物を噛むための筋肉」と思われがちですが、実はそれだけではありません。咀嚼とは、下顎を前に出したり左右に動かしたりして、食べ物を「すり潰す」とても複雑な運動です。外側翼突筋は、顎を前後左右に動かして、この「すり潰す」動作を行うために欠かせない筋肉なのです。
開けるのに、閉じる。不思議な二面性
外側翼突筋の面白いところは、ひとつの筋肉でありながら、上部(上頭)と下部(下頭)でまったく逆の働きをする点です。
ふだんは顎を前に引き出して「口を開ける」ための主役として働きます(おもに下頭の役割)。ところが口を閉じるときには、今度は上部(上頭)が活発に働きはじめます。基本は「開ける」筋肉でありながら、「閉じる」ときにも深く関わる。とても特殊な性質を持っているのです。
顎を安全に迎え入れる名脇役
では、口を閉じるとき、外側翼突筋(上頭)は何をしているのでしょうか。
顎の関節には**関節円板(かんせつえんばん)**というクッションがあります。口を閉じる際、外側翼突筋の上頭はこの関節円板を前方に引っ張りながら、少しずつ伸びてブレーキをかけます。下顎の骨(下顎頭)が関節の窪み(下顎窩)の正しい位置にスムーズに収まるよう、円板の位置を微調整して「顎を安全に迎え入れる準備」をしているのです。
この精巧な働きがあるからこそ、私たちは硬いものを噛んでも、顎の関節を痛めずにすんでいます。
トラブルが顎関節症を引き起こす
しかし、食いしばりやストレスなどで外側翼突筋が過度に緊張してしまうと、このコントロールが崩れてしまいます。
筋肉が関節円板を常に前方へ強く引っ張り続け、円板が本来の位置に戻れなくなってしまうのです。これが、口の開け閉めで「カクッ」と鳴るクリック音や、顎が引っかかって口が開かなくなる開口障害(かいこうしょうがい)といった、顎関節症の直接の引き金になります。
顎の不調を感じたら
顎の不調を感じたときは、骨や関節そのものの問題だけでなく、この「外側翼突筋」の過緊張を疑ってみることも大切です。
まずは、無意識の食いしばり癖を見直し、顎の周りの筋肉をふっとゆるめてあげることを意識してみてくださいね。
当院では、鍼やお身体全体の調整を通して、こうした顎周りの深い筋肉の緊張にもアプローチしています。「自分ではどうにもゆるまない」とお感じのときは、どうぞお気軽にご相談ください。つらい顎の不調、一緒に少しずつ整えていきましょう。




































